「見た目のスペックを越えられるか」学生時代の同級生R君は変わり者でブサイクだったのに、女友達もいて、一目置かれる存在だったのはなぜか。
彼は、山田だ。ブサイクな高校生。
安野モヨコの漫画「花とみつばち」で、主人公のモテたい少年小松のライバル的な存在の少年だ。
(花とみつばちは、モテたい高校生小松が、モテるためにエステサロンのドSなお姉さんたちに虐げられながら、イイ男になっていくという、ギャグ漫画である)
ちなみに、小松はこんな顔。
この山田、ブサイクな上に足は短くちょっとぽちゃ気味。おまけにふてぶてしく横柄。
なのに、なぜかモテる。
最近この漫画を読み直したのだが、山田を見て、学生時代の同級生、Rを思い出した。
Rは、ブサイクだ。少し酷な表現をすると、丸い顔を綿棒で引き伸ばして平らにし、団子のような鼻をくっつけると、Rになる。
度数の高い丸い眼鏡をかけ、10kgはありそうな重そうなカバンを肩からかけていた。
そのうえ、かなりの変わり者である。
工具をこよなく愛し、名前をつけては愛でていた。
一般的には、女子からはキモいと言われるようなタイプの男だろう。
特段頭が良い訳でもなく(むしろ悪い)、これといった特技もある訳ではない。
付き合っている友人達も、どちらかといえば地味なタイプである。
ところが。
前述の山田ほどではないとは思うが、彼には女友達がそこそこいた。
彼女がいたのかは定かではないが、美術部の女子達とキャッキャッしていた記憶が強い。
一般的には「キモい」と言われるタイプだが、嫌われるということはなかった。
Rは、「ブサイクだし超変人なんだけど、なんか憎めない面白い地味な男子」
というキャラを確立していた。
男としての一般的なスペックが低いこの2人が、同じ学年の女の子たちと渡り合えるの
はなぜだったのか。
2人の中に、何か共通するものはあったのかを探ってみた。
①圧倒的に「自分主義」
山田は、本編の中でとても可愛い彼女と初デートに行く。
デートの舞台は城。城マニアの山田は、彼女を自分の得意なテリトリーに引き込んだ。
あくまでスタンスは「この女が俺が城に行こうとしているところに、勝手についてきた」。
そのため、城の入館券は自分の分しか買わないし、彼女と歩調を合わせることもしない。
彼女の方もあまり見ない。
ところが、そんな山田が時折彼女の方を見やると、彼女はとてつもなく幸せそうな顔をするのだ。
工具マニアのRにも似た様なところがあった。
相手に合わせようとする気はない。
相手が自分に合わせれば良いのだ、的な考え方は、飄々としていて逆に潔く見えたのかもしれない。
②根拠のない自信がある。
山田は、自分がブサイクであることを自認している。
それでも自分はモテると信じて切っていて、それに対する努力はしている。
(脱毛をしたり、お肌をツルツルにしたり)
Rも同じだ。どこかふてぶてしい態度からは、
よくわからない自信?の様なものがにじみ出ていた。
(ちょっと人を見下す態度がまた小憎たらしいのだ。)
今思うと、それは彼の出自にあったのではないかと思う。
都内に住むRが通う学校は、お隣の県。
川をまたいで通学していたのだが、「自分は東京から通っている」
的なことをよく言っていた様な気がする。
そして、聞いた感じでは彼はそこそこに裕福な家庭に育っていた。
都会に住んでいて裕福な暮らしをしているところが、
Rの自信の根源だったのかと思う。
③相手を自分の世界に引き込むのがうまい。
Rは、工具の話のほか、世間でのブラックな政治の話題などが好きだった。
(父親の仕事柄、そんなことに興味を持ったらしい)
少しアングラな話題を彼から聞くのは、異世界の話を見ている様で楽しかった。
男として意識することはなかったが、一緒にいて退屈しなかったのだ。
そして、独特な話し方と内容に、ついつい引き込まれてしまう。
一方、山田の方も同じ能力を持っている。
先ほどの城デートでは城のウンチクを彼女に語るシーンがある。
質問に対して、いろんな知識を披露して彼女がドキドキするのだが、
彼の特技はこれだけではない。
自分が答えられない質問は、基本的にはスルー。
聞かなかったことにして、自分の話に持っていくのだ。
(しかし、わからないところは後でちゃんと調べておく、という
いじらしいところもある。)
かくして2人は、見た目のスペックを越えて来たのではないかと思う。
この2人、フツーに聞くとムカつく要素をたくさん持っている。
女としては、こういう男はごめんだなとは思うのだが、
放っておけない何かを持っている。
この2人は、このふてぶてしいキャラが許される特権を持っているのだ。
「〇〇くんだから、まあ仕方ないか」
というキャラを勝ち取ったのだ。
ただしこれは、一朝一夕にして成るものではない。
彼らが心から自分に対して自信を持っていて、その態度が板についているから許される
のである。
見た目のスペックを越えてモテる男になるためのケーススタディとして、
今回は山田とRについて話をさせてもらった。
今後の男磨きの一助となれたら幸いである。
余談だが、この後山田はイケメンコンテスト的なものに出場するため、
整形してこうなる。(で、後にホストとなる。)
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