DT卒業とEDには深い関係があった！？セックスの心得を学ぶ機会はどこへ？
DT卒業の機会を得ると同時に、勃たなくなってしまう男たちが増えて
いるという。
教育コンサルタントとして、思春期の少年少女の成長過程を見ている
松永暢史は、多くの中学生から大学に、異性に対する考えをインタビュー
している。
その中に、こんなコメントがあった。
都内A大二年
「最近よく話題になるのはAVインポ。
これは、ふだんAVでオナニーし過ぎて、いざ本当の女の子と
相対すると全くタタないケース。
たとえば、コンパなんかで、酔った勢いで、それほどの器量では
ないけれども、いかにもオトコ目当てというセックスアピールの
高い女の子と無事約束にこぎつけて、いざことに臨もうとすると、
それまでAVで得た知識と生身の女の子の反応が全く違うので当惑して、
全然タタなくなるケース。
女の子には馬鹿にされるし、それから全くダメになるケースも多い。
これは真面目なタイプこそなりやすい。
女の子が最初から自分からアヘアヘなんていったら異常であることが
全然わかってない連中。
僕の友だちに、初めての時にローターとか持ち込んで『変態！』と
叫ばれて、その上滔々と説教されて本当にインポになったのもいるよ。
でもマスターベーションはできるんだってさ。
とにかく生身の女がもう全く嫌なんだってさ。『コワイ』っていうん
だから可笑しいよね。
でも、僕もその気持ちがわからないでもないから困るんだけれどもね。」
（『選ぶ女 選ばれる男』2005年、ディスカヴァートゥウェンティワン社）
このコメントが寄せられたのは2005年。
この学生は、今でいうと30代前半ぐらいになるだろう。
友人がこのトラウマを克服できないとしたら、インポの30代前半の生活を今でも
続けていることになる。
松永氏は、DT喪失EDが増加している理由について、セックスの心得を学ぶ
機会がないからだと指摘している。
セックスだって、誰だって初めからできるわけではない。
ここには、年上の経験者の手ほどきを受けることが必要なのである。
風俗史研究家の赤松啓介は、フェミニスト代表とも言える上野千鶴子との対談本
『猥談』（1995年、現代書館）の中で、昔の少年たちのセックスの手ほどきに
ついて語っている。
1950年代ごろまで、13歳ぐらいの村の若衆になった少年たちは、「ふんどし祝い」
として、母方の叔母さんに性の手ほどきを受けるのが普通だったらしい。
都市部にもそれに近い仕組みがあり、元服（？）した少年たちは、セックスの
仕方を学ぶ機会があった。
ところが残念なことに、今の男たちには経験値的にセックスを学ぶ機会がない。
彼らの教材はAVになるのだが、そこには男の欲求が詰まっていて、
女の「リアル」がない。
そのため、初めてのセックスで実際の女を見て、緊張して勃たなかったり、
AVと同じことをしようとして、相手の女を怒らせたり笑われたりすることで、
自尊心を傷つけられてしまうのだ。
男としてのプライドが傷つけられたことで、DTながらもEDとなってしまう。
初めてのセックスが精神的トラウマにならないための男の心構えとしては、
以下のことが重要だろう。
①「初体験の段階ではうまくできないのは当たり前」と思い込むこと。
②AV女優の振る舞いは一般的な女の反応と全然違うということを認識すること。
いろんな期待や想像を一度冷静になって抑えてみると落ち着ける。
一昔前は、こういった心構えが響くのは、高校生や大学生の若い男たちで
あっただろう。
しかし、童貞人数が200万人を超える日本で、性的な経験値が低いアラサー
男たちは珍しい存在ではない。
年齢にかかわらず、生身の女を抱いたことがないという男は、こういった
心構えが重要である。
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