恋愛の手段化!?付き合っても長く続かない人は、〇〇〇〇〇〇〇〇のための恋愛をしているから
せっかく付き合ったのに長続きしないというアラサー男女は少なくない。
付き合う人数は多いのに、3ヶ月も続かずに終わってしまう。
しかも、振られるのではなく振ってしまう。もしくは別れたいそぶりを見せる。
半年以上付き合いが続いた経験がない人も少なくない。
すぐに別れてしまうのは何故なのか?
その答えを紐解くカギが、「恋愛心理学特論」
(高坂康雅、2016年、福村出版)に眠っていた。
高坂は、恋愛に関する心理学的研究のほとんどは青年
(心理学では中学生から22歳ぐらいまでの時期を指す)を対象としているという。
そのため、「本来であれば、青年期特有の心理状態あるいは自我発達も
考慮されるべき」とし、「アイデンティティのための恋愛」という理論を
紹介している。
この恋愛理論は、前提として「アイデンティティとは何か」がわかって
いないと理解しづらい。
少し小難しい話になるが、アイデンティティについて触れておきたい。
広辞苑第7版より
アイデンティティ(identity):※ここでは①の意味
①人格における存在証明または同一性。ある人が一個の人格として
時間的・空間的に一貫して存在している認識をもち、それが他者や共同体
からも認められていること。自己同一性。同一性。
②ある人や組織が持っている、他者から区別される独自の性質や特徴。
アメリカで最も影響力のあったとされる精神分析家エリクソンは、
「<自分自身の内部の斉一性と連続性(心理学的な意味における自我)
を維持する能力>が
<他人にとってのその人が持つ意味の斉一性と連続性>と調和するという
確信から発生する」と述べている。
斉一性とは、立場や役割によってたくさんの「〇〇な私」が現れるが、
それらを全てひとまとまりにして「自分は誰ともとって代わることのできない
独自の存在である」と感じる感覚である。
連続性とは、過去現在未来のどの自分も同一の自分であり、連続した
「私は私である」という感覚だ。
この斉一性と連続性が、自分も他人も認めている確信が持てる状態が、
アイデンティティが確立しているという状態なのである。
青年期には、アイデンティティの確立に向け、様々な役割を経験し、
自分の人生や生き方について模索をする。
この状態を「モラトリアム」という。
モラトリアム期には、不安や焦り、迷い、劣等感、自己嫌悪など、否定的な
感情を強くいだきやすい不安定な時期だ。
そこで、青年は「心の拠り所として異性や恋人を求めるように
なるのである」(高坂)
エリクソンは、この時期の恋愛関係と心理状態の関連について
「青年期の恋愛は、その大部分が、自分の拡散した自我像を他人に
投射することにより、それが反映され、徐々に明確化されるのを見て、
自己の同一性を定義づけようとする努力である」
と言っている。
わかりやすくいうと、青年期の恋愛は、異性や恋人に好きだと言われたり
認められることによって自信を持ち、自分の不安定さを補強しようとする
ものだということ。
アイデンティティの確立のための恋愛だから、
「アイデンティティのための恋愛」なのだ。
この理論を受け、立教大学の大野久教授は、アイデンティティのための恋愛を
「親密性が成熟していない状態で、かつ、アイデンティティの統合の過程で、
自己のアイデンティティを他者からの評価によって定義づけようとする、
または補強しようとする恋愛的行動」と概念化している。
大野は続けて、「アイデンティティのための恋愛」の特長を発表している。
①相手からの賛美・賞賛を求めたい
自分のアイデンティティに自信がもてない青年は、相手からの賞賛を
自分のアイデンティティの拠り所にしている。
具体例:
「会うたびに、『私のこと好き?私はあなたが好き』、『俺のこと好き?
俺はお前のことが好きだ』なんて言ってました。」
②相手からの評価が気になる
①の理由から、相手から賞賛し続けてもらわないと不安になる。
だから、自分に対する相手の評価が気になる。
具体例:
「電話してもデートしても、いつも私に『俺のこと好き?』とか
『どこが好き?』と、私が彼のことを好きかどうか確認するのです。」
③しばらくすると、呑み込まれる不安を感じる
自分自身に一定の自信が持てない状況で人と仲良くなろうとすると、
相手が自分の心の中に入り込んできたり、相手に取り込まれ自分がなく
なるように感じて息苦しいような感じがする。
具体例:
「一緒にいても、私が私でないような、仮面をかぶっているような状態。
会話というものができず、呑み込まれるような不安、沈黙、緊張……」
④相手の挙動に目が離せなくなる
相手から嫌われることが、単なる失恋に止まらず、自身の基盤が
揺さぶられる経験となり、大きな不安と混乱の原因となる。
具体例:
「今の彼氏に振られたら、もう誰も私のことを好きになってくれな
いんじゃないかとか、一生恋人が作れないんじゃないかと思いました。」
⑤交際が長続きしない
①から④を見るように、「アイデンティティのための恋愛」をしている人は、
関心が相手ではなく自分自身にある。だから、本当の意味で相手を愛している
わけではない。
そのため、相手を幸福な状態にしようという努力や気配りをすることが難しい。
具体例:
「相手が忙しくなってしまって、会ったり話したりできなくなったら、
色々と不安に思うようになりました。あまりみっともない私を見せたく
なかったという理由で、私からなんとなく別れることをにおわせてみました。
すると、『嫌いになったんじゃなくて、重たくなったんだ』と言われました。」
これらの研究は「青年期」の心理状態を元になされている。
しかし、歳を重ねてもこのようなことに身に覚えのある人はいないだろうか。
青年期の過ごし方によって、アイデンティティの確立の可否は変わって
くるだろう。
アラサーになろうがなんだろうが、アイデンティティが確立していない人は
意外といるように感じる。
恋愛に悩んでいたり奥手な男女には、
「相手の反応が気になって自分らしく振る舞えない」
「思い返すとあまり相手のことを考えられていなかった
(自分の願望を相手に押し付けていた)」
「すぐに不安になってしまう」という悩みを持つ人が多い。
アイデンティティのための恋愛は、社会人以降でも十分に起こり
得ることなのだと感じる。
(成年期以降の恋愛についてはほとんど研究データがないのでわからないが。)
「恋に恋している」
という言葉があるが、言い得て妙である。
「アイデンティティのために恋愛をしている」ことが原因のすべてとは
言わないが、大きな要因となるのではないかと感じる理論だった。
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