真面目に性科学。「イく」って気持ちいい♡ オーガズムに至るまでのレシピ
男女の関係で避けて通れない「セックス」。
あまり気持ちがよくない、好きでないという人もいるが、
オーガズム=イくをしっかりと経験した人はセックスが好きになる。
今回は、この「オーガズム」について少し詳しく見ていきたい。
1、オーガズムとはなにか。
身近なものほど説明がしにくい。少し小難しく、生理学的に言うならば、
性別を問わず、血圧の上昇、下腹部その他の不随意筋の収縮、心拍の上昇、
激しい快感、それに続く充足感を包含する現象
だと、ジョンズホプキンス大学の神経科学者デイヴィッド・J・リンデンは言う。
確かにその通りだが、「イく」と言う行為を表すには少し味気ない。
同大学の精神科医で性科学の草分け的存在であるジョン・マネーは自身の論文でオーガ
ズムの精神的な面と生物学的な面を共に捉えた定義を下している。
「男性および女性が主観的に、官能的な恍惚、すなわちエクスタシーとして特徴づけるような性愛的経験の絶頂。脳/心と生殖器において同時に生じる。」
デイヴィッドによると、マネーの説明はオーガズムについての3つの重要なポイントを押さえていると言う。
(1)オーガズムは単に触覚の強烈なものに過ぎないのではなく、質的に異なる独特の経験であること。
(2)オーガズムに達する最も確実で典型的なあり方は、生殖器への刺激により触覚信号が感覚神経から脊髄、脳へと伝わると言う形であること。
(3)オーガズムは生殖器で生じているわけではなく、脳で生じていると言うこと。
では、オーガズムは生殖器とは無関係に生じるのだろうか。
これについては、デイヴィッドはイエスと答えている。
表面的に性的とは言えない鼻や肘、膝などの皮膚に触れられることでイく事例は多く見られるし、少数ではあるが、身体に触れなくてもイく事例もある。
1.オーガズムを得る時の脳の動き
オーガズムを得る時は、生殖器への刺激により活性化する部分と不活性化する部分があるという。
活性化するのは、触覚や温度感覚、関節などに対する感覚が研ぎ澄まされる体性感覚野という部位や、快感回路など。
一方で、不活性化するのが、扁桃体。
恐怖、不安の現象や、潜在的脅威に対する警戒が減少する。
つまり、リラックスをするということだ。
また、慎重な意思決定や自己制御、道徳的選択、社会的価値などにかかわる脳領域も活動が低下する。(イくときはに重要な意思決定をするのは好ましくないということがわかる。)
他にも細かい脳の器官が活性化したり不活性化したりする。
となると、オーガズムは脳の多くの領域が同時に活動していることなのだ。
昔、頭の良い人ほど性欲が強いという記事を書いたが、なるほどそういうことなのかもしれない。
脳の多くの領域の活動が統一的にオーガズムの感覚を生み出しているということは、
その感覚は構成部分に分けることができるのだ。
生殖器への刺激は体性感覚野の活性化により生じているが、それ自体は「快感」という感情的なものを誘発することはない。
快感は腹側被蓋野という異なる部位から、ドーパミン・ニューロンという快楽物質が活動するときにのみ生じる。
イくときに生じるリラックス感や脱抑制は、それぞれの領域の不活性化の結果である。
余談であるが、アラサーちゃんというドラマの中で、
壇蜜が(劇中で)「早く寝たいときにオナニーする」と言っている。
これは、オナニーでリラックス感を得、心地よい眠りにつくことを目的にしているのだろうと、今更ながら思った。
2.オーガズムを得るためのレシピ
以上のことを踏まえると、オーガズムのレシピは以下のようになるだろう。
(1)生殖器からの触覚を活性化します。
→快楽を感じやすい生殖器への刺激により、生殖器以外の感覚も敏感にする。
(2)不安と警戒を不活性化します。
→生殖器を刺激し続けると不安や警戒が減少するのだから、丁寧な前戯はとっても重要。
パートナーをイかせたいなら、(1)によって不安や恐怖を減らして上げなければならない。
過去のセックスでトラウマ(パートナーからの非難や身体的特徴など)がある人は、この不活性化がうまくいっていないのかもしれない。
(3)快感回路を活性化します。
→快感回路は個体の生存と種の保存のための行動に働くもの。
セックスやオナニー以外でも、食事やアルコールなどでも活性化するという。
(4)運動中枢を活性化します。
→体がビクビクしたり、身をよじったりするなどの、制御不能な態度や表情を誘発する。
(5)慎重な判断を下す領域を不活性化します。
→恥ずかしいとか、人からどう思われるだろうとか、余計なことを考えているとイケなくなる。
あまりイケないという人は、どの部分がよくないのかを考えてみると、
もしかしたらイくためのヒントになるかもしれない。
ただし、セックス中にやっては逆効果。扁桃体が活性化してしまいそうである。
セックス中は、何も考えず、脳が用意してくれた感覚を楽しめば良い。
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